もうひとつの「きょうだい児」の問題

障害児にかかわる「きょうだい児」というと、一般的には障害児をきょうだいにもつ『健常児の』兄姉弟妹のことを指します。
障害がある子どもには保護者やまわりの大人の視線・関心がどうしても集まりやすく、相対的に「きょうだい児」への関わりが薄くなってしまうことが少なくありません。表面的には「きょうだい児」は障害児への理解があり、“いい子”として振舞っているように見えるものの、実は心理的負担を少なからず感じており、不安や葛藤を和らげてあげるためにも、「きょうだい児」にも障害児と同じくらい保護者等の大人が関わっていきましょう…という、最近研究が進んできた分野の話です。
しかし、視点を変えると、もうひとつの「きょうだい児」の問題があることに気づきます。つまり、障害児も“健常児を兄姉弟妹にもつ”「きょうだい児」であるわけです。
(発達に偏りがある発達障害は、また別の話になりますが)障害児は発達のスピードはゆっくりであっても、確実に成長していきます。もしかしたら「きょうだい児」が幼少期に抱える様々な不安や葛藤といったものを、青年期・成人期になって抱え込むケースがあっても不思議ではないということです。
ただ、障害児自身の「きょうだい」問題については、これまでほとんど研究されていないと思われます。特別支援学校の高等部には、障害が軽度の生徒が少なくありません。もしかしたら、「きょうだい」問題を抱えている生徒がいるかも…。
明日からそういった視点で、改めて生徒たちを見つめてみようと思います。