塀の中の障害者

知的障害:出所者の更生支援…東京に事務所開設へ(毎日新聞)
 ややショッキングなタイトルをつけてしまいましたが…
 障害があり、法に触れる行為(≒犯罪)をしてしまった人たちの問題は、なぜかこれまで話題に上ることが少なく、福祉・社会保障の視点から置き去りにされてきたという印象は否めません。もしかしたら、未だに世間の『障害者観』が「ピュアでまっすぐで懸命に生きている人」という、必要以上に美化されていることが影響しているのかもしれません。*1
 障害者自立支援法が成立したとき、「申請主義(申請しない人はサービスを受けられない)のシステムであり、知的障害者は適切なサポートがないと取り残されてしまう」という議論がありました。それから2年。かなりの混乱を伴いつつも、現場では「地域支援センター」をはじめとする『適切なサポート』の具現化に向けた動きが見られます。
 その『適切なサポート』は、繰り返し犯罪を犯してしまう障害者にこそ必要だ、というのが今回の南高愛隣会の取り組みです。取り組みの裏付けとなる研究報告書はネット上に公開されています。
 http://www.airinkai.or.jp/ken-gs/index.html
 一般の人が読みこなすにはちょっと難解で、量も膨大(報告書本体は84ページ)ですが、福祉・行政そして教育の現場で障害者のみなさんと関わっている人たちには、ぜひ読んでほしい資料だと思います。
 この取り組みが全国に広がり、充実していくことを願ってやみません。

*1:ただし、この『障害者観』は建前の話であって、強烈な差別・偏見が解消されていないという「本音」からも目をそむけてはいけないと私は考えます。