夏の読書感想文
- 作者: 高岡健
- 出版社/メーカー: 雲母書房
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
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さて、第一部で発達障害者支援法や特別支援教育に言及しているところは、私にとって新鮮な切り口でした。
「専門家」グループは、障害の早期発見と早期療育が少年事件を未然に防ぐかのごとき幻影を振りまきます。同時に、「専門家」に導かれた学校教育が、新自由主義社会への適応をもたらすという幻影も、振りまくことになるのです。
発達支援法における定義は、前述した区分*1を十分に吟味することなく混同し、「低年齢において発現する」「脳機能の障害」という、仮説でしかない基準を根拠として、発達障害の範囲を無制限に拡大することを許す内容になっているのです。
本来は障害と診断し得ない子どもまでをも対象に選定しているのですから、特別支援教育において何らかの特異的な教育方法が開発提供されることはありえません。このため、ラベリングのみが、子どもたちの上に残ることになります。
もろ手を挙げて賛同はしませんが、なるほど、そういう捉え方もあるな、という感じです。
今、特別支援学校や小中学校で『特別支援教育』の充実に向けて尽力されている先生方も多いことでしょう。私もその一人ですが。そこに“特別支援教育への疑念・懸念”はあるはずもなく。そういうタイミングでこういう説に触れると、なかなか微妙なものがあるわけで。