特別支援教育コーディネーターとは

独立行政法人国立特殊教育総合研究所とか、 東京都心身障害教育改善検討委員会とか、 障害保健福祉研究情報システムとか、いろいろなところで『特別支援教育コーディネーターとは何ぞや』と解説されています。
小・中学校の特別支援コーディネーターの定義としては…
特別な教育ニーズを有する子どもやその保護者に対して適切な支援を行うため、
○小・中学校に設置された「校内委員会」を運営する。
○学校内の教員間の連絡調整を行う。
○外部の関係機関や専門家、エリア内の特別支援学校との連携調整役となる。

…というところですが、これじゃよく分かりませんね。

特別支援教育コーディネーターって、どんな仕事をする人?

該当の児童・生徒にどのような支援・配慮が有効かを判断し、企画・立案・人選・交渉・連絡・調査・評価をするのがコーディネーターです。

英語担当「3年○組のA君なんだけど、授業中にブツブツ独り言が多くて困っちゃうんですよ。」
コーディネーター「へぇ。担任からみて、他に気になることはあります?」
学級担任「う〜ん…。あ、そうだ。時間割が変更になると、急に怒り出しますね。」
コーディネーター「なるほど。担任の先生からは、彼には日程の変更をできる限り早く教えてあげてみてください。あと、英語の先生は、その独り言にはちょっと目をつぶってもらって、発問のたびにはっきり『A君!』と呼名してあげてください。とりあえず1週間。何か変わったことがあったら、教えてくださいね。A君のことは学年主任にも伝えておきます。」

とまぁ、こんな感じです。つまり、コーディネーターの相手は子どもではありません。全て大人なのです。目の前の子どもに手を変え品を変えアプローチしていく特殊学級担任とは、仕事に決定的な違いがあるのですが、このあたりは誤解されているかもしれません…。

特別支援教育コーディネーターになるには、どんな資格が必要?

必要な“資格”はありません。学校内において、校長に指名されたら誰でもなれます。*1
うちの県では、指名された教諭および所属校の教頭に研修*2を受ける義務が課せられていますが、全国的にみると温度差があるようです。
ただ、必要な“資質”はあります。比較的短時間の観察で、必要な支援・援助について判断する必要がありますから、いろいろな障害に応じた指導技法だけでなく、発達心理学や児童心理学・臨床心理学(カウンセリング)・生理学・精神医学・解剖学*3等の分野に関しても、ある程度の見識が求められます。また、たくさんの大人を動かす必要があるので、交渉力・調整力が求められます。*4

特別支援教育コーディネーターには、特殊学級担任がなるの?

そうとは限りません。確かに、“特別支援教育”に通じているという理由で特殊学級担任が兼任するケースは少なくありません。霞も、兼任しています。『外部との連携・調整』に主眼をおく学校では、相手方の窓口が所長・施設長クラスなのだから、それに見合う役職として、教頭をコーディネーターに指名するところもあります。

特別支援教育コーディネーターって、何人いるの?

コーディネーターですから、学校に1人です。うちの県では、平成17年度までに全ての小・中・養護学校において指名されました。実際にはコーディネーターを含めた数人で構成される「校内委員会」のメンバーが仕事を進めることになるのかな…と思われます。
ちなみに、養護学校特別支援教育コーディネーターは、周辺市町の中心となりネットワークを作りなさいという命題があるので、妙に張り切っている人が多いですね。

*1:というか、指名されたら、ならなければなりません。

*2:1日研修。午前と午後に2本の講義を受けます。

*3:なんでこういう動きができないのかな?なんてときに役立ったりします。

*4:現場の教員にとって、ここが一番つらいかも…