脳神経回路:発達制御の物質突き止め 自閉症解明に期待
http://mainichi.jp/select/news/20120501k0000m040080000c.html
ミソは『適切な時期にGABAの働きを強める投薬などで、神経回路の発達異常を軽減できる』という点。
人間における“適切な時期”とは2歳前後のはずなんだが、その時期に自閉症スペクトラムの診断を下すことはできないでしょ。(診断基準が変わっていたら、ごめんなさい。)
自閉症に限って言うと、この研究からもう一段階進めて初めて効果的な治療法にたどり着く可能性が見えてくるかも…というところかな。
“知的障害”の自立活動
運動機能に障害がある児童生徒の自立活動
…姿勢保持とか、手指の操作性とか、既に確立されています。
自閉症スペクトラム・情緒障害がある児童生徒の自立活動
…実生活を考えると、コミュニケーションに最大の“難しさ”があることは容易に想像できるので、具体的なスキル獲得とか、ロールプレイングを導入した経験の積み重ねとか、方向性は見えます。
さて、(妙な表現ですが)知的障害“しか”ない児童生徒の自立活動
…?
…?
…?
…どう考えても、考えれば考えるほど「生活単元学習」になっちゃうんですけど。
アキレス腱を伸ばすには
新しい年度になりました。今年度は「自立活動」に力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
さて、さっそく体育主任の先生から相談を受けました。
「うちの学部の体育では、アキレス腱をちゃんと伸ばせるようにしたいんだけど、どうしたらいいのかな?」
本来、アキレス腱を伸ばすには両足のつま先を前に向ける必要があるのですが、生徒の多くが後に引いた足のつま先が外側に向いています。
後に引いた足のつま先が外側に向いてしまうと、アキレス腱は伸びません。姿勢そのものの理解・ボディイメージ・体幹のバランス…さまざまな理解・発達上の課題が関係する問題です。
さて、どこから手をつけ、どのような指導をすればよいのか?即答できずに、宿題にさせてもらいました。
元気に生きてます
気がつくと半年以上エントリをあげてませんでした。
いろいろと身辺に変化があり…どのような変化があったのかも、ブログ上で書くことができないのが心苦しいのですが、とりあえずは元気に生きています。
特殊教育が特別支援教育に変わり、“何だかよくわからないところ”だった『養護学校』が『特別支援学校』と変わって、世間との隔たりはだいぶ縮まってきた実感があります。
ただ、小中学校の先生方の中にはまだまだ混沌とした不安や悩みが多いのもまた事実。保護者が持つ“イメージ”と物的・人的制限がある中で移行期の真っ只中にある“現実”との乖離が原因です。
そういった先生方をサポートし、保護者の皆さんを諫めるために「具体的な特別支援教育の話」を提供することは有効だと思うのですが…そのためには、私が個人で責任を負える環境が必要です。つまり、公立学校の教員、公務員ではダメだということ。
“中の人”でなければ発信できない情報なのに、“中の人”からは発信できない法制度・世論が変わるまで、静かにチャンスを待ちたいと思います。
そういう表現があったか!
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090709-00000024-sph-base
(センター側からの写真)
(バックネット側からの写真入り記事)
このニュースに対して、こんなコメントがあった。
すでに頑張っている沼田さんに頑張れと言うのはアレな気がいたしますわあ
なので、あたしの元気送ります!是非使ってください!
やっぱりノムさんいいわよね・・・(´∀`*)ポッ
「すでに頑張っている」というのは、うちの学校に通っている子どもたちの多くにもあてはまること。そういう彼ら・彼女らに“もっと頑張ってほしい!”と求めたいとき、どんな声掛けをすれば良いのか、なかなかいい表現が見つからなかったのだが…
この表現は一手間かければ使えそう。「先生の元気パワ〜〜〜〜〜注入!!」って感じで*1。
*1:前提として、先生が元気でなければならないのですが。
ある仮決定〜『特別支援教育』が問われている(3)
ある仮決定〜『特別支援教育』が問われている - 特殊学級から養護学校、そして特別支援学校の続報第2弾。
女子生徒の初登校に関する報道をクリップ。
- http://sankei.jp.msn.com/life/education/090703/edc0907031203002-n1.htm(→ウェブ魚拓)
- http://www.47news.jp/movie/general/post_2798/(→ウェブ魚拓)
- http://www.asahi.com/national/update/0703/OSK200907030065.html(→ウェブ魚拓)
- http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20090703kk04.htm(→ウェブ魚拓)
- http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20090703kk07.htm(→ウェブ魚拓)
- http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20090703kk06.htm(→ウェブ魚拓)
動画を見る限り、女子生徒は教育課程に特別な配慮は不要のようで、やはりこの件は施設・設備の整備という面で論じるべき問題であるようです。
ところで、ちょっと驚いたのが、女子生徒は中学校に通学するとはいえ、通常学級ではなく、奈良地裁の決定後に設置が決まった肢体不自由特別支援学級に在籍し、県立養護学校*1で訪問教育を担当していた教諭が、同日付で下市中学校へ異動したこと。
これらはとにかく異例。学級の設置にせよ、教諭の異動にせよ、町教委・県教委ともに既に予算措置を含めた“下準備”をしていなければできないスピードです。県教委の「財政援助はしない」という表明は何だったのか、知事の“鶴の一声”で予算がついたのか、憶測の域を脱しません。
動画を見ると分かりますが、下市中学校は予想以上の傾斜地に建てられており、駐車場は砂利敷き。また、写真を見ると、電動ではなく手動の車椅子を用いています。これは、常時介護者が必要であり*2、多くの場面で2名必要*3だということです。
全教職員が、女子生徒を想定した約30キロの砂袋を持って階段を上り下りし、段差のある廊下で車いすを押す練習をしたとか、校長が全校生徒に「一人ひとりどんな支援ができるか、考えてください」と呼びかけたとか、下市中学校の対応は特別支援教育の理念に則ったものであり、評価に値します。
しかし、その高いモチベーションを女子生徒の卒業まで維持できるか、一抹の不安があるのも事実です。また、他県で前例があるものの、生徒の転校に合わせて職員を異動させたり、該当生徒の後に入学の見込みが無い状態で特別支援学級を設置した今回の“配慮”は、他の障害児やその保護者に一種の不公平感を生まないかも心配です。
蛇足
読売新聞の記事中で「認定就学制度」が紹介されていますが、施設・設備等のハード面、職員等のソフト面の双方で“受け入れ態勢が整った”小中学校に限って就学を認めるものであり、そもそも施設の整備が不可能だから起こった今回の件に関連して引用するのは明らかに誤りです。マスコミの「不完全な理解に基づく知ったかぶり」は今に始まったことではありませんが、非常に残念で口惜しい思いをさせられます。