通常学級を目指す親たちの“メッカ”

 今日、市の就学指導委員会専門委員会が開かれたが、秋のこの時期は小学校・中学校に通っている子供たちの中で、特別な配慮が必要と思われる子供たちについて検討をする。今回は全部で34ケース。一人ひとりについて、どのような配慮が必要か、どのような教育の場*1がふさわしいかを話し合っていくのである。
 10分の休憩を含めて3時間半、毎年のことだが結構疲れる会議である。だが、今年は比較的スムーズに会議が進んだ。本来、この専門委員会は就学指導委員会副委員長が司会をする。今年の副委員長はうちの学校の校長。ところがなぜか今日は“全県中学校長研修会”へ出かけている。ということで、特学のことをとても理解してくれている小学校校長が司会をしてくれたのが良かったのだ。もし、うちの校長が司会をしていたら果たして何時間かかったことやら…
 ところで、今年も話題になったのが“通常学級志向の保護者”。彼らの『通常の学級に通うことで得られるメリット』は、冷静に考えれば論理的に破綻しているのだが、結局世間体にとらわれてカミングアウトできないでいるのである。まぁ、今までは『仕方がないですね。時間をかけて話し合っていきましょう。』とのんびり構えていられたのだが、今年は状況が変わった。市内のB小学校に“配慮が必要な児童”が12人も集まってしまったのである。このB小学校に特殊学級はない。つまり、この小学校に入学するということは「通常学級に入る」ということになる。親のネットワークと妙な情熱は恐ろしいもので、子供のためとばかりに学校に隣接するライ○ンズマンションに続々と引っ越してくるのだ。

通常の学級なのに配慮が必要な子が入ってくる。

先生たちは何とかしようと、指導法を工夫したり、非常勤のサポーター等のスタッフの増強をしたりする。

配慮が必要な子も、何とか毎日の学校生活を送れる。

「この学校なら何とかしてくれる」という話が親のネットワーク上に流れる。

新しい“入学希望者”が転居してくる…

 まさに悪循環である。一生懸命な先生ほど「何とかしなくちゃ、がんばらなくちゃ」と、しなくてもいいはずの苦労をしている。ここまで来ると、市の教育行政上の問題だ。でも、肝心の教育委員会は担当の指導主事が“とても保守的な昼行灯”。何も期待できない。現場の教員たちは限界に近づいているというのに…

*1:通常の学級・特殊学級養護学校 等