自閉の子だって隠し事

放課後、Aくんが所属する剣道部の顧問の先生に呼び出されていました。聞いてみると、何かがきっかけで剣道部の先輩が怒り出し、Aくんに暴力*1を振るったということでした。
顧問「Aくんは先輩に何か言ったのかい?」
A君「先輩がね、靴下を投げてきたの。」
顧問「だから、先輩が怒るようなことを、Aくんが何か言ってないかい?」
A君「パンチしてきました。」
顧問「だからぁ、それは怒った先輩がしたことでしょ。Aくんは先輩になんて言ったの?」
先輩が怒り出すきっかけになったはずの“一言”を、なかなかAくんから聞きだすことができません。たまたま近くに居合わせた他の生徒の話によると、先輩が“スキンシップ”のつもりでAくんにちょっかいを出していると、Aくんが「このやろう!」と暴言を吐いたことがきっかけだったようです。この先輩、ふだんからAくんの防具の紐を締めてくれたり、いろいろと関わってくれているのですが、ちょっとした人間関係の『間』のとり方が下手な子です。どうやらAくんを何回となく足払いしていたようなのですが、彼にとっては本当に“スキンシップ”だったのかもしれません。
Aくんには「今回は君が悪い。先輩から嫌なことをされたときには『やめて“ください”』と言うこと。」と指導し、先輩には自分の思惑と相手の受け取り方が違うことがあるということを指導しました。
それにしても、自閉の子でも、自分に都合の悪いことは隠してしまうんだなぁ…と、変なところで感心してしまいました。

*1:“げんこつ”程度のものでしたが