「子ども」が「大人」になる日

学区内の小学校の校長先生が『一日校長』として、うちの中学校にやってきました。その校長先生が全校朝会で「いつから大人になるんだろう」という話をしてくれました。

ある日、子どもは大人になる

 子どもは『ある日』をもって大人になる。それは、大人になろうと決意した日であって、大人というものは自然になれるものではない。

立志

 大人になる日とは「志(こころざし)」を持った日である。「志」とは、『こういうように生きよう』ということである。“職業”ということも出来るかもしれないが、人のために、社会のためにどのように役立つか…ということが「志」である。「日本一のコソ泥になろう」というのは「志」ではない。

アフガニスタンでドクターサーブ[先生様]と呼ばれ、1984年から23年以上も無料診療を続けている中村 哲氏を紹介

去稚心

 大人になる日とは幼い心を捨て去る日である。優しくしてもらいたい、助けてもらいたい…そんな心を捨て去る日である。橋本左内が「啓発録」の中で『去稚心』と呼んでいる心境である。

「もうじき、おれたち、大人なんだな…」
「そう言うと、僕らの体からすうっと抜け出たように、上空に駆けていく雲のような影が…ああ、おれたちの中のコドモがいま空へ飛び去っていく!
      小宮山量平「千曲川そして明日の海へ」より

ガツンときました。感動しました。そうか…と納得させられました。ふだんは落ち着かない生徒たちも、話に聞き入っていました。
…で、そのまま朝会をおしまいにすればよいものを、うちの校長は本当に何ともはや。小学校の校長先生を壇上に押しとどめ、“感謝状”を読み上げ始めたかと思うと、「志(し)に生きるという先生のお話は…」あ〜あ、まさに“蛇足”でした。