体育祭

強行決定

「今日は絶対雨」という予報が少々外れて、朝の時点では曇り空。ホームページと花火で知らせる予定は午前6時。ホームページの更新は霞の担当になっているので、一刻も早く決めてほしいところですが、校長は6時5分前に学校へ来ました。*1教務主任に「資料を用意して。」と命令し、教頭ともども校長室へ消えました。
6時。6時5分…市内の他の中学校が『体育祭実施』の花火を打ち上げる中、うちの校長は決断できずにいました。
6時10分。出された結論は『決行』。教務主任は頭を抱えていました。「絶対雨が降ると分かっているのに…」

土砂降りの開会式

決行を決めた途端に雨が降り出しました。開会式のころ、雨はピークを迎えました。生徒たちの集中は切れ、頭にタオルを載せる者、後ろの子と話し始める子…なぜかTシャツの上にブレザーを着て朝礼台に立っている校長の挨拶をまともに聞いている子はいませんでした。

雨、あがる

開会式が終わる頃、雨が小降りになり、やがて止みました。はっきり言って奇跡です。午前中の学年種目や綱引き、障害物リレーなどが順調に行われ、生徒たちは「今年は何としても最後までやってやる!」と盛り上がっていきました。

全員リレー

特殊学級の生徒たちも参加した「全員リレー」。Aくんだけは交流学級の友達が背中を支えながら伴走してもらいましたが、ほとんどが“一人で”走ることができました。上出来です。

Cさん、固まる

そんな中、特殊学級のCさんが最悪のタイミングで固まってしまいました。クラス対抗の「大縄跳び」。場面緘黙のCさんは、十分な練習を繰り返さないとなかなか動けないのですが、今回の体育祭では、霞がついつい手を抜いてしまい、大縄跳びの練習をしたのはたったの2回。それも特殊学級の生徒たちとの練習でした。
召集場所でよくよく言って聞かせましたが、その程度で動けるようなら特殊学級にはいませんよね。制限時間2分間の間、Cさんは一度も跳び上がることなく固まったまま、交流学級の成績は「0回」、学年最下位になってしまいました。Cさんがちょっとでも申し訳なさそうな表情をすればよいのですが、そういう時に限ってCさんは涼しい顔をして「私、関係ないもん。」という感じになってしまうのです。ふだんCさんとの関わりがあまりない男子が「何やってんだよ!!」と激怒。女子の一人がCさんの肩をそっと抱いていましたが、雰囲気は最悪です。
こうなってしまったのは、完全に特殊学級担任である霞の落ち度です。Cさんに対して事前に十分な指導・練習をやらなかったこと。交流学級の生徒たちにCさんの様子について十分な説明をして理解してもらう努力を怠ったこと。いずれも取り返しのつかないミスです。はっきり言って、霞の中に慢心がありました。深く反省しなければなりません。
とりあえず午後も競技が続くので、お弁当の時間に霞とCさんとで交流学級の教室に行き、「ごめんなさい」と謝りました。すると女子が「よし、C子!ムカデリレーは頑張ってね!」と声をかけてくれたのです。とてもありがたかったです。

途中で中止

お弁当を食べ終わる頃に再び雨が降り出し、午後の最初の種目「二人三脚リレー」のころにはかなりの雨になってきました。でも、生徒たちのモチベーションは高いまま。教員も「最後までやろうよ。どんな雨でも!」とずぶ濡れになりながら生徒たちを見守っていました。午前中失敗してしまったCさんも、ムカデリレーで挽回しようと召集場所で待っていると…
「えー、体育祭はここで中断します。残りは火曜日に行います。」体育主任の通告に、グラウンドにいた全員が一瞬ビックリし、次の瞬間大激怒です。
「なんでだよー?最後までやらせろよ!!」(生徒)
「このタイミングで中断はないでしょ。うちの校長、分かってないよなぁ…」(教員)
「つ〜づけて!こ〜ちょう!つ〜づけて!こ〜ちょう!」(PTA)
優柔不断とはこのこと。他校がやるからといって強行し、雨脚が強くてもやってやろうとみんなが頑張っている最中に独断で*2中断・延期を決めた校長。生徒が言っていましたよ。
「続きを何で明日やらないの?」
「だって、明日はゴルフをやる予定なんでしょ、校長先生たち。うちのお父さんが言ってたよ。」

*1:霞は、5時15分に来ていたんですよ!

*2:体育祭の中心になるべき体育主任が、中断決定の際には蚊帳の外だったそうです。