交流授業について

末摘花さんのご質問に答えて。
まずは建前論。学校教育法施行規則とか学校教育法施行令が根拠になるんですが…

ケース1「特殊学級に在籍する児童生徒は、通常の学級で授業を受けることができる」

これについて解説すると、特殊学級の教育課程*1は、学習指導要領*2にかかわらず、児童生徒の状態に応じて柔軟に設定してよいことになっていますから、通常の学級*3の授業を受けることで本人にとってメリットがあると特殊学級の担任が判断すれば“交流授業”ができる…ということです。本来は学校長の権限なのですが、実際には特殊学級の担任の裁量に任されていることが多いみたいですね。

ケース2「通常の学級に在籍する児童生徒は、特殊学級で授業を受けることができない」

一方、こちらが末摘花さんの息子さんに該当するわけですが、1年1組の生徒が3年2組の授業を受けることができないことは理解できますよね。その理屈の延長線上に『通常の学級の生徒の“交流授業”』はダメ、という建前があるわけです。ただし、言語障害と情緒障害については「通級」*4が認められているので、週に何時間か特殊学級で指導を受けることができます。
ここが少しややこしいのですが、言語障害特殊学級・情緒障害特殊学級には『固定学級』と『通級学級』の2種類があって、それぞれ都道府県教育委員会の認可を受けて設置されています。だから“通級の”情緒障害特殊学級がないと、通常の学級に在籍している児童生徒が特殊学級で指導を受けることはできないのです。

裏ケース「教育相談対応」

実は、「通級」が認められていない固定制の情緒障害学級や知的障害特殊学級*5で、通常の学級に在籍している児童生徒が週に何時間か指導を受けているケースもあるのです。ただし、それは“教育相談対応”という言い訳をしながら“緊急避難的対応”として学校長や教育委員会が“黙認”していると考えてください。「決まりではダメってなってるけど、目の前の子どもを何とかしなきゃいけないんだから、少々の『ズル』には目をつぶろう…ってレベルの話なんですね。
どのような仕組みで“教育相談対応”が実施されるかというと、どの学校にもある「特別支援教育校内委員会」*6で検討されて、学校長が決裁します。そうは言っても、特殊学級側に受け入れるだけの余裕があり、特殊学級担任にそれだけの技量があり、学校長に理解があって初めて成立する“教育相談対応”なんです。

*1:つまり、どんな内容の指導=授業をするかということ

*2:○年生の授業では、こういう内容を教えなさい、と定めているものです。

*3:「通常の学級」っていうのは学校教育法での法律用語。“正式名称”です。いわゆる『普通学級』のことです。

*4:通常の学級に在籍しながら、特殊学級で指導を受けること

*5:知的障害学級には『通級学級』は存在しませんからね。

*6:今でも「就学相談委員会」という名称になっているところもあるみたいですけどね。