え?骨折?

朝、霞が学校に着くなり、ソフト部の部長が飛んできました。
部長「先生!れいちゃんから『スキー教室で骨折した』って電話があったんですけど」
霞 「…へ?そんなはずはないよ。ニコニコして3日間滑っていたんだから。ちょっと本人に確認してみるね。」
教室に行くと、れいちゃんがいました。
霞 「お〜い。骨折したんだって?いつの話なの?」
れい「帰りのバスに乗るときに…」
霞 「本当に?」
れい「いや…剥離骨折かも…」
霞 「本当に?」
れい「ね、捻挫かも…」
霞 「本当に?」
れい「…なんともないです。…ごめんなさい…」
話の実情は
『スキー学校で疲れてしまい、休日の部活に行くのがつらくなった。“骨折した”ということにすれば、練習を休める。』
…ということのようです。
自分を正当化しよう、叱責を逃れようとして「言い訳」を考えているのですから、ある意味では高等な思考作業といえないこともありません。でも、将来何らかの援助を受けながら生活せざるを得ない彼女らにとって、「あの子はウソをつく」という評判は、決してプラスになりません。
『怒られるかもしれないけど、本当のことを話す』という勇気を持たせること。特殊学級にとって、とても大切にしている指導のポイントです。