今どきの銀行で感じたこと

 だいぶ調子が良くなってきたので、銀行へ行ってきました。PCのHDが壊れてパスワードをなくしてしまったため、ネットバンキングのログインができなくなって1ヶ月あまり。メールオーダーでパスワードを再設定する書類を送ってもらっていたのですが、今一つ手続きがわからなかったので、窓口で説明してもらうためです。
 手続きそのものは10分ちょっとで完了。対面して教えてもらうとすぐ理解できました。
 ところで、久しぶりに銀行の窓口に行って驚いたのが「外貨販売機」と「現金受付機」。「外貨販売機」は100ドル・500ドル・1000ドル分の米ドル紙幣セットやトラベラーズチェックの“自動販売機”。価格はその日のレートで決まるんでしょう。「現金受付機」は、大量の硬貨を預け入れる際に自分で機械を操作して計数し、伝票を窓口に提出せよ、というものでした。
 どちらも昔なら窓口に『お願いします』と頼めていたこと。銀行自体のリストラ・合理化の影響でしょうが、預入・払出・振込にとどまらず、そこまで客にやらせるのか…と感じました。
 街に出てみれば、この20年で“セルフサービス”がとても増えたことに気づきます。
 例えば駅。東京駅まで行くとして、昔ならば出札窓口に財布を差し出し、「東京駅まで1枚ください。」と言えば切符が買えました。これなら特殊学級の生徒でも十分OK。今では大きな料金地図・運賃表*1の中から「東京」の文字を探し、それに対応した料金を記憶し、券売機の前に移動して該当する金額のボタンを押し、切符が出てくるまでお金を入れ続ける*2…知的障害・自閉の生徒にとって、かなり難しい作業の連続です。
 例えばお店。昔ならば「○○屋さんに買い物に行こう」という発想でしたが、今ではほとんどがスーパー・コンビニ。非常に多くの商品の中からお目当ての品物を探し出さなければなりません。その陳列方法に決まりはありません*3からお店が変われば品物の並び方も変わりますし、同じ店でも時期によって変わることがあります。消費税が内税方式に変わって少しはマシになりましたが、今の「買い物学習」は相当ハイレベルな課題なのです。
 もちろん今でも、昔ながらのやり方で切符や品物が買えると思います。ただ、それはあくまで駅員や店員の“善意”によるもの。「自分でやって。自分で探して。」と言われても文句は言えません。
 駅や銀行の機械はほとんど(全部?)がタッチパネルになりました。これ、視覚障害者や文字が読めない知的障害者にとっては操作不可能な機械ですし、身体障害者にとっても相当難しい機械だと思います。車椅子の視線、つまり地上1mからだとATMの液晶画面ってすごく見づらいし、振込先の名前を入力する画面では、健常者の私でさえ隣の文字を押してしまうくらいボタンが小さいですから。自分ではできないからといって窓口に依頼すると何百円も手数料を取られますしね。 ジュースの自動販売機ではグローバルデザインとかノーマライゼーションとか、そんな視点で作ってるなと感じられる自動販売機があります。でも、そういう機械がどうして駅や銀行に普及しないのでしょうか?進歩した技術でわざわざ障害者にとって使いにくい機械を作っているのはなんでかなぁ…と首をかしげてしまいました。

*1:JR東日本の主要駅には五十音順に駅名・運賃が書かれた表が掲げられています。

*2:駅員さんによると、このやり方が“正しい券売機の使い方”なんだそうです。お金を先に入れてボタンを押しても切符が出てくるのは“昔ながらの使い方”をする人にも対応したオプションなんだとか。

*3:スーパーなら入口から青果→魚→精肉→牛乳等の日配もの→惣菜、コンビニなら道路側に雑誌、最奥部に飲料、壁面に弁当…という基本はありますが。