美しい日本における特別支援教育

文部科学省特別支援教育教科調査官*1からメールが来て、“参考資料”として紹介されたのがこれ。
http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/seisaku-005.html
このURLからリンクしているPDFファイルが報告の本体です。「美しい日本における…」というタイトルからしてうさん臭さプンプンだし、作成した小委員会のメンバーが馳浩氏・有村治子氏・加藤勝信氏・坂本由紀子氏の4名ということから、さほど期待もせずに読んでみました。
結論から言うと、やはり教育再生会議の提言と同様に「井の中の蛙の独り言」の域を脱していません。『学校教育の充実を図るという観点から』と言いながら、事情に精通しているとは言いがたい政治家が限られた人からの意見聴取に基づいて作るのですから無理もないのですが、『背景』『課題』には事実誤認だったり“出典はどこ?”と言いたくなるような記述がたくさんあり、『政策提言』として挙げられている中には既に現場で立ち上げられているものが少なくありません。
さらに言えば、この報告では発達障害(特にLDとADHD)への対応にずいぶんと力が入れられていますが、『特別支援教育』の対象はそれだけではありません。視覚障害聴覚障害・知的障害・肢体不自由に関してはほぼノータッチ。本来“発達障害”のカテゴリに入る自閉症に関してもなぜかほとんど触れられていません。タイトルの割には実に中途半端な報告です。
とはいえ、例えば「個別の支援計画」は教育・福祉・医療・労働の各分野において横断的に作成・活用していこうと立ち上がりながら、なかなか軌道に乗っていないのも現実です。今回の報告が、政党・議員の目を特別支援教育に向けさせ、国・地方自治体に求められていることは何なのか、今すぐできること・長期的に取り組むべきことを明らかにして、実行に移すきっかけになれば…と期待したいところです。
とにもかくにも、「子どもは母乳で育てろ」などと言い出す政府も政府なら、与党自民党自民党。(教員も大きなことは言えませんが)いったい何をやっているのやら。余計なお世話は結構。それよりも政治家としてやるべきこと=然るべきところへの然るべき額の予算配当をちゃんとやって下さいよ!というのが本音です。

*1:個人的に知り合いなもので、ときどきこのような情報をいただきます。