学校教育法等の一部を改正する法律案
…がついに提出されましたね。
第164回国会における文部科学省提出法律案:文部科学省
まずはしっかり読み込もうとプリントアウトしたら…
げ!法律案原文は、スカスカのA4が43枚も出てきちゃった!事務さんに怒られそう…。
んで、特に『特殊学級』に関する部分を引用&解説してみましょう。
『「特殊学級」という名称は、もう使いません。』ということですね。また、“学級”となっているのがポイント。これは『今の“固定式”の学級を存続させますよ。』という意味です。これで、新方式になっても教室・担任教諭の確保が保障されるはずです。
同項第6号中「心身に故障」を「障害」に、
『器質的なものだけでなく、機能的な“障害”も含みますよ。』という意味。LD、ADHDなどの子供たちを念頭に置いたものでしょう。
第1項と同様に名称の問題です。
同条第2項中「学校は」を「学校においては」に、
事業の主体を表しているのですが…う〜ん、“おいては”の意味が分からないです。
ちょっと、ここだけは宿題にしてください…
ここも名称の問題。法律を変える際には、整合性を保つために、同じ言葉であっても条文に出てくるたびに一つ一つをつぶしていかなければならないんですね。
同条に第1項として次の一項を加える。
小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚園においては、次項各号のいずれかに該当する児童、生徒及び幼児その他教育上特別の支援を必要とする児童、生徒及び幼児に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。
ここがLD、ADHDなど、これまで法的根拠がないがためにケアし切れなかった子どもたちを『特別支援教育』の対象とし、『特別支援学級』に受け入れることができるという根拠になります。
内容としては、だいたい予想されていたものですが“法的根拠”が作られたという点が重要なのです。 さぁ、次は学校教育法施行令がどうなるか、注意して見ていきたいと思います。
自閉の生徒の作文〜「構造化(自己流)」
「卒業生を送る会 in 特殊学級」でちーちゃんに渡す手紙を書こう、という課題での話。
A先生「さぁ、Bさん(在校生)は、Cさん(卒業生)の思い出を書いてね!」
…こんな発問では、自閉のBさんに意図は伝わりません。“思い出”の記憶を整理し、文章を構成するために構造化(のような意識を)した発問が必要です。
教具として用意するのはレポート用紙。上下(横書きなら左右)2つに分けておきます。
Cさんと一緒に行った場所、一緒にやったことを書きなさい。
『行った場所』『やったこと』という具体的な発問であれば、比較的容易に記憶を喚起することができます。
場所・こと | Cさん |
---|---|
合同学習会に行きました。 | |
市内音楽会に |
|
去年、一緒に国語をやりました。 |
そのとき、Cさんは、どんなことをしていたか、書きなさい。
特に自閉の子どもは本当の意味での“感想”を述べるのがとても難しいことが多いので、“詳細な状況”を述べることで“感想”の代替としました。
場所・こと | Cさん |
---|---|
合同学習会に行きました。 | 一緒にお面を作りました。 |
市内音楽会にでました。 | リコーダーで「アメイジング・グレイス」を吹きました。 |
去年、一緒に国語をやりました。 | 漢字 |
「〜ました。」を「〜ったとき」に書き換え、最後に「ね」を付けなさい。
場所・こと | Cさん |
---|---|
合同学習会に行 |
一緒にお面を作りましたね。 |
市内音楽会にで |
リコーダーで「アメイジング・グレイス」を吹きましたね。 |
去年、一緒に国語をや |
漢字を練習しましたね。 |
大まかな内容+「したとき」+詳しい状況+「ね」…と書くと、事実を並べただけなのに思い出を語っているように聞こえませんか?*1
最後にCさんへのお礼の言葉を書きなさい。
場所・こと | Cさん |
---|---|
合同学習会に行ったとき、 | 一緒にお面を作りましたね。 |
市内音楽会にでたとき、 | リコーダーで「アメイジング・グレイス」を吹きましたね。 |
去年、一緒に国語をやったとき、 | 漢字を練習しましたね。 |
Cさん、どうもありがとうございました。 |
『社会に通用するパターン』を作ってあげれば、それは自閉の子にとって大切な『スキル』になり得ます。今回は「“思い出”を書く方法」というのを霞なりに考えてみたわけです。
*1:「聞こえない!」と言われればそれまでなのですが…