自閉の生徒の作文〜「構造化(自己流)」

「卒業生を送る会 in 特殊学級」でちーちゃんに渡す手紙を書こう、という課題での話。
A先生「さぁ、Bさん(在校生)は、Cさん(卒業生)の思い出を書いてね!」
…こんな発問では、自閉のBさんに意図は伝わりません。“思い出”の記憶を整理し、文章を構成するために構造化(のような意識を)した発問が必要です。
教具として用意するのはレポート用紙。上下(横書きなら左右)2つに分けておきます。

Cさんと一緒に行った場所、一緒にやったことを書きなさい。

『行った場所』『やったこと』という具体的な発問であれば、比較的容易に記憶を喚起することができます。

場所・こと Cさん
合同学習会に行きました。  
市内音楽会にやりましたでました  
去年、一緒に国語をやりました。  

そのとき、Cさんは、どんなことをしていたか、書きなさい。

特に自閉の子どもは本当の意味での“感想”を述べるのがとても難しいことが多いので、“詳細な状況”を述べることで“感想”の代替としました。

場所・こと Cさん
合同学習会に行きました。 一緒にお面を作りました。
市内音楽会にでました。 リコーダーで「アメイジング・グレイス」を吹きました。
去年、一緒に国語をやりました。 漢字練習しました。

「〜ました。」を「〜ったとき」に書き換え、最後に「ね」を付けなさい。

場所・こと Cさん
合同学習会に行きました。ったとき 一緒にお面を作りました
市内音楽会にでました。たとき リコーダーで「アメイジング・グレイス」を吹きました
去年、一緒に国語をやりました。ったとき 漢字を練習しました

大まかな内容+「したとき」+詳しい状況+「ね」…と書くと、事実を並べただけなのに思い出を語っているように聞こえませんか?*1

最後にCさんへのお礼の言葉を書きなさい。

場所・こと Cさん
合同学習会に行ったとき、 一緒にお面を作りましたね。
市内音楽会にでたとき、 リコーダーで「アメイジング・グレイス」を吹きましたね。
去年、一緒に国語をやったとき、 漢字を練習しましたね。
Cさん、どうもありがとうございました。

『社会に通用するパターン』を作ってあげれば、それは自閉の子にとって大切な『スキル』になり得ます。今回は「“思い出”を書く方法」というのを霞なりに考えてみたわけです。

*1:「聞こえない!」と言われればそれまでなのですが…