計算尺

 自閉的傾向の子に数学を教えていると、思わぬところでつまづいていてびっくりさせられることがある。
 今日、A君とかけ算の問題集を解き進めていた。するとこんな問題が出てきた。

16−20−24−□−□−□

 九九をほぼ完璧に暗誦できるA君なのに、この□に入る数がわからない。かけ算の概念がわかっていなかったのである。
 そこで、A君にこんな質問をしてみた。
 『20から24へ、いくつ増えていますか?』
 返ってきた答えは、『25です!』
 ここで、彼の思考を解説(あくまで推測だが)してみると…
『20から24には増えている。24と言われたのだから、次は25だ!』
 つまり“いくつ”という質問のニュアンスが理解できていないようなのだ。
 そこで、2つの数の差=「違い」を認識・意識させるために、『計算尺』を作ってみた。板目表紙を使って授業をしながら作ったので、完成度は今一つ…。でも、目に見える形で、自分の手を使わせて「違い」を自覚させたかった。
 パソコンでプログラムを組んでも良いんだけど、立ち上げるのに時間がかかるし、一瞬で答えが出ちゃうから、障害のある生徒にとっては(障害のない生徒もそうかもしれないが)何でそうなるかがわかりにくいのだ。