学級見学

今日はCちゃんの両親が学級の見学に来ました。Cちゃんは小学6年生。通常の学級に在籍しており、中学進学を前に、このまま通常の学級でやっていけるかどうか、親としてとても迷っている、ということでした。

  • 動きに少しぎこちなさがある
  • 多くの友達と遊ぶというよりは一人で何かをしていることが多い
  • 予定が急に変更されると落ち着かなくなる
  • 「○○は△△でなきゃダメ」と譲らないものがある

お話を伺う限りではCちゃんには自閉症アスペルガー症候群の特徴が見られるようです。ご両親には2年生が交流している体育と、特殊学級の体育、技術の授業、そして休み時間の通常学級の教室や廊下を見ていただきました。ご両親に『特殊学級に在籍させるにあたり、気になることは何ですか?」とお聞きしながら、霞はこんな話をしました。

特殊学級に入っても、通常の学級に戻ることはできるんですか?

制度上、それは可能です。毎年進級前に、校内の先生方で検討し、保護者の方と相談して特殊学級と通常の学級と、どちらに在籍させるか見直しをしています。

特殊学級に入ると、勉強の量が少なくなりませんか?

限られた時間の中で、その子の状態やペースに合わせた授業をしていきますので、例えば1年生の授業で扱う全ての内容を網羅することはできません。たくさんある内容の中の、基礎的なもの、その子にぜひ身につけさせたいものをいくつか選んで取り組むことになります。

特殊学級に入ると、刺激が少なくなるんじゃないですか?

むしろ逆です。通常学級の体育で、一人の生徒が何回担当の先生から話しかけられましたか?一方、特殊学級の体育ではどうでしたか?教師からの声かけ・問いかけ、そういう刺激は特殊学級のほうが何倍もあるんです。また、通常学級での授業では、その気になれば50分間じ〜っとして何もしないまま過ごすこともできます。(教師としては不本意ですが)でも、特殊学級ではそういうわけにはいきません。サボろうとしても教師からの問いかけや指示がどんどん飛んできますし、本人が行動を起こすまで授業は先に進みません。50分間、のんびりする暇なんてないんです。
友達同士のかかわり合いが少なくなるという心配も、誤解です。休み時間の教室を見てください。確かに教室の中には30人以上の生徒がいますが、一人の生徒に注目してみると、その中の何人と話をしていますか?せいぜい5人、6人と言ったところでしょう。ポプラ学級は全部で11名いますが、そう考えると通常学級となんら変わりはないんです。

特殊学級に入っても、高等学校へ行けますか?

「どこの高校でもよい」というのであれば、行けます。実際に一昨年、高等学校へ進学した生徒もいます。Cちゃんと似た特徴のある生徒でした。ただ、彼のご両親がなぜ高校進学を望んだのか、その理由と決意を知っておいてください。
養護学校高等部へ進学すると、曜日によっては1時すぎに自宅に帰ってきてしまいます。うちの近所にはこういう子が時間をつぶせるようなサークル活動も公共施設もありません。何もすることがないという時間が、あまりに長すぎます。これは、彼にとっても私たち親にとっても不幸な生活です。それならば、夕方まで授業を受け、部活に打ち込み、暗くなってから帰ってくるという、中学生の今のような生活をあと3年間続けさせたいのです。高校を卒業するとき、働く職場が見つからなかったら?そのときは、うちの田んぼをこいつにやらせますよ。」
『高等学校卒業』と『養護学校卒業』とでは周りの見る目が違ってくるという、この地域の雰囲気はよく分かります。せめて高校は卒業させたいというお気持ちも十分理解できます。肝心なのは、ご両親にそこまでの覚悟がありますか?ということなのです。