特殊学級の“学級”行事

体育祭・音楽会などの『学校』行事に加え、特殊学級独自の“学級”行事に取り組んでいるところは多いはずです。うちの特殊学級の“学級”行事は「市内合同学習会」です。市内の全特殊学級に在籍する児童生徒『+α』が集まり、年に5回行われます。

芋ほり(6月)

みんなでジャガイモを掘り、新しい友達(新入生・転入生)の歓迎会を開きます。特学担任は他校の児童生徒の実態を把握し、児童生徒同士の人間関係を作ります。

遠足(10月)

観光バス*1に乗り、県内外の娯楽施設・公共施設へでかけます。特学担任は施設内での児童生徒の行動を観察し、集団や環境への適応状況について把握します。

宿泊学習(11月)

市内にある県の青少年活動センターで、1泊2日の合宿をします。ナイトハイクや夜のお話会、調理実習などを行います。特学担任は入浴時や就寝時の様子を観察し、修学旅行・スキー学校等の参考にします。

ミニ運動会(2月)

寒い時期ですが、体育館内で“運動会”を開きます。児童生徒の実態に合わせて、事前の“練習”をしなくても済む種目ばかりです。グループ対抗なので、中学生はリーダーシップを、小学生はフォロワーシップを身につけます。

卒業を祝う会(3月)

みんなでジャガイモを植え、卒業・進学する友達を祝う会を開きます。小学生が中学生の進路先を知ることで、自分の生き方について考えるきっかけ作りを狙っています。

県内の市町村を見ても回数や内容に多少違いがあるものの、だいたいこのような内容で行われているようです。うちの市では合同学習会の遠足や宿泊学習と自分の学校の宿泊学習・遠足・修学旅行等の両方に参加しますが、“特学行事”だけという市もあるようです。
ところで『+α』とは誰かというと、通常の学級に在籍している児童生徒です。就学相談の一環として、特殊学級やそこに在籍している児童生徒について保護者に理解してもらえるよう、ケースに挙がった児童生徒とその保護者に、市教育委員会の指導主事が積極的に働きかけているのです。うちの特殊学級の1年生6人のうち、2人がこの『+α』で参加してくれていました。保護者や本人の感想はおおむね良好で、これまで参加してくれた児童生徒は全て特殊学級に入級しました。
ちなみに、うちの市の「合同学習会」は、特学担任・設置校校長・担当指導主事で構成される『設置校連絡協議会』が主管する市教育委員会主催行事として位置づけられています。つまり後ろ盾のある公式行事です。環境整備が十分でない市町村では、特殊学級の各担任がそれぞれ同じ日時・場所で行う生活単元学習の「校外活動実施届」を出し“そこに行ったらたまたまよその学校も来ていた”という苦肉の策で合同学習会を行っているところもあるようです。
今から15年以上前、初めて赴任した市がそんな感じでした。ただし、万が一事故が起きた際の責任の所在は明確にしておく必要があります。市教委や校長の後ろ盾というのは、とても大切なことなのです。

*1:今年度は予算削減のあおりを受けて、市のチョイボロバスになりましたが…