どんぶり勘定

学級遠足の“メインイベント”、昼食に何を食べるかを考えました。
結局、健康ランドに入ることになったので、昼食はそこの大広間。あらかじめFAXで取り寄せておいた*1メニューを見ながら、自分の食べたいものを自由に選びます。条件はただ一つ、1,102円以内!作業学習での売り上げ÷クラスの人数−交通費・入湯料など必要経費=1,102円なのです。
ここでちょっと問題。とんかつ定食の値段が1,200円だというのです。食べたい…でもお金は足りない…
すると、Aさんが究極の知恵を搾り出しました。
「B子!一緒にとんかつ定食とライスを注文して、二人で分けて食べよ!」
そう、AさんとBさんは姉妹なのでした。このアイデアには恐れ入りました。長年特殊学級の担任をしていると、生徒の反応はたいてい想定内に収まるのですが、今回は見事に裏をかかれました。
…とはいえ、このアイデアを褒めるわけにはいきません。よくよく考えると、Bさん自身が1,102円使えるという権利を侵しているからです。「きょうだいなんだから、一緒でいいじゃない」という意見もあるでしょうが、実は伏線があります。良くも悪くも天真爛漫、マイペースなAさんは、自分の思いをストレートに押し通してしまいます。Bさんは、自分の思いをぐっと押し殺して、Aさんに合わせる…という生活をこれまでずっと続けていました。それだけが原因ではないでしょうが、中学校に入学する頃には、Bさんは“裏に回って仕返し・いじめをする”性格になっていました。
将来地域で生活することを考えたら、このままでは、とても大きなハンデを背負ってしまう。この性格を今のうちに何とかしなければ…と、カウンセリングやスキルトレーニン*2に取り掛かったばかりだったのです。
「おいおい、Aさんの都合でBさんのお金に手をつける気か?Aさんは1,102円しか使えないの!」
霞がかなりマジギレしたので、Aさんは目をパチクリ。Bさんは… 少し穏やかに笑ってくれたように見えたのは、気のせいかな?

*1:こういうところは気が利くんだよね、●●先生!

*2:これ、霞の造語。○という場面になったら■という行動を取りなさいと直接的に教えてしまう、ロールプレイングの一種です。