進路研修会
この講師、「障害者自立支援法と障害者福祉の将来展望」(この資料そのものはネット上にないのですが、こちらの資料がほぼ同様の内容を示しています。)を根拠に、障害者自立支援法を非常に肯定的にとらえていたのが印象的でした。
ただし、『地域での受け皿』というところでは違和感を感じました。講師は「特定子会社を持つ大企業を相手にするように、組織体対組織体のつながりというシステムを推し進めるべき。施設や学校関係者と企業の経営者・人事担当との“個人のつながり”で職場開拓をしていくという手法は消える方向にある。」と発言したのです。オシムの戦術論ではありませんが、システムが問題を解決するのではなく、問題を解決するためにシステムを選択すべきだと、私は思うのですが…。
中学校特殊学級で長くやってきた霞は、はっきり言って特例子会社をあてにしていません。まず、どうしても障害者に対して“一般論”で対応する嫌いがあります。また、同じ職場に障害者が多数在籍するがために、障害者同士によるトラブルが起きることもあります。*5
講師が否定していた“個人のつながりによる職場開拓”は、就労を希望する障害者に対する支援・配慮を十分に踏まえた雇用につながるし、「自宅から通えるところに就職させたい」と願う保護者の存在を考えると、大企業が少ない地域においてはまだまだ有効な手段だと思うのですが…。
また、この講師が施設長を務める施設は、平成19年度から「自立訓練(生活訓練)事業」と「就労移行支援事業」の2本立てとなり、22名定員の「就労移行支援事業」から平成23年度には年間10名の一般就労者を出す…という計画が示されました。あと5年でそんなに景気が回復しているとは思えないのですが…。
それに、日本の企業の実情をみれば、かつて養護学校・特殊学級の卒業生が就労していた比較的単純な軽労働の職種はほとんど海外に流出しているはずです。今から20年近く前に、おもちゃの(株)タカラの人事担当者と話をしたことがあるですが、その時すでに、部品の組立・袋詰めといった工程は東南アジアの現地法人で行っているため、国内で障害者が担当できるような軽作業はないということだったのです。
そういった事情があるから、大企業は「特例子会社」を作っているのだ…という理屈も成り立つのですが…。もうこうなると、よくわかりません。