「美しい国へ」
指導案も書き上げ、締め切りの迫った仕事がない3連休の初日。仔ダヌキが欲しがっていた「ポケットモンスター パール(特典なし)」を買いに行った隣の隣町にあるTSUTAYA*1で見つけたのがこれ。
- 作者: 安倍晋三
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07/21
- メディア: 新書
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本書は、いわゆる政策提言のための本ではない。わたしが十代、二十代の頃、どんなことを考えていたか、わたしの生まれたこの国に対してどんな感情を抱いていたか、そしていま、政治家としてどう行動すべきなのか、を正直につづったものだ。
…ということは、この本に書かれている内容に基づいて「安倍総理の政策方針」について論じるのは見当違いということですか?“安倍晋三の政策本”だと思って766円も払って買ったのに…。(「オシムの言葉」の時と同じ失敗を繰り返してる…)
では、個々の『政策』についての批評は今回は差し控えるとして、全体の読後感を一言で言うならば「未知のもの、失ったものに対する“美しき幻影”」です。家族観について述べている部分を挙げれば
わたしには子どもがいない。だからこそよけい感じるのかもしれないが、家族がいて、子どもがいるというのは、損得勘定抜きでいいものだなぁ、と思うことがよくある。
この映画*2は昭和三十三年という時代を記憶している人たちだけでなく、そんな時代を知るはずのない若い人たちにも絶賛された。いまの時代に忘れられがちな家族の情愛や、人と人とのあたたかいつながりが、世代を超え、時代を超えて見るものに訴えかけてきたからだった。
子育ての“舞台裏の苦労”を知らないが故の『美しいイメージ』、時代背景のいいところだけを強調するように脚本で演出された映画に基づく『美しいイメージ』…。そういう『イメージ』が鼻につくのです。
テレビで安倍氏を「世間知らずのお坊ちゃま」と評する“文化人”がいましたが、さもありなんという感じです。「美しい国へ」というフレーズの足元がいかに脆弱なものか、それがわかったことが唯一の収穫かもしれません。