口は出さずに金を出せ

特色ある足立区。 - 小学校笑いぐさ日記
この記事、かなり長文なのですが、全編にわたって「確かにそうだよなぁ」というのが私の感想です。
 私の最初の赴任校は、通学可能な範囲に私立中学校が多いという立地と地域の評判とから、学区の小学校から3分の2しか子どもが進学してこない学校でした。上位3分の1がごっそり抜けているのですから、学力は振るわない、リーダーシップを発揮できる子がいないのでグループダイナミクスも期待できない…入学してくる生徒たちはそんな集団でした。どうしたらこの生徒らの力を伸ばし高めることができるか、当時の先輩先生たちは文字通り手を変え品を変え奮闘していたことを思い出します。
 幸い当時はまだバブルがはじけ切る前でしたし、人口急増地域だったこともあり、学校につけられる予算には余裕がありました。そこで、先輩たちは金をかけ、“質”と“規模”と“場”とが一流の行事を企画することで生徒たちに感動と自信を植え付け、学校を建て直していったのでした。今では市民会館で合唱祭を行う学校が増えましたが、当時学校の体育館以外の場所で合唱をするところは少なく、ホールで歌うこと自体が特別な経験だったのです。「日本中でも、こんなところで合唱できる学校はなかなかないんだぜ!」3000人規模のホールで歌った生徒たちは、ちょっとした優越感と自尊心を得ることができたのです。
 行事にしろ授業にしろ、より高い質を求めようとすれば金がかかります。言い方を変えれば、金をかけずに質を高めるには限界があると思うのです。学力を伸ばすことが目的であるならば、足立区の施策方針は誤っていると私は思います。“口は出さずに金は出す”そんな粋なタニマチみたいな自治体・教育委員会があったなら、学校はどんどん良くなると思うのですが…。