公認野球規則とはいうけれど

午後、仔ダヌキが入っている少年野球チームの保護者会に行ってきました。今後の試合予定や保護者に応援してもらいたい事柄など、監督・コーチらスタッフから説明があった中で、ユニフォームやスパイクの話題になりました。
何でも、地区の少年野球連盟からはスパイクについてもチーム全員が“同じデザイン”のものを履くようにと指導があったとか。この“同じデザイン”について、ライン*1も同じものにするのが本来のルールなのだと連盟のお偉いさんは言っていたそうです。つまり、同一メーカーの同一モデルを履けということらしいです。
高野連の一件もそうでしたが、野球界ってプロから少年野球までどうしてこうもトンチンカンなんでしょう。スパイクに限らず靴というものはメーカーやモデルによって足幅・甲高が違います。足の形や技術的なレベル、それに保護者の経済状況によってふさわしいスパイクは千差万別のはず。第一、『公認野球規則』にはどこにもそんな規定はないんです。
ちなみに、選手が着用する用具に関する規定はこれ。

1・00 試合の目的、競技場、用具
1・11 ユニフォーム
(a)(1)同一チームの各プレーヤーは、同色、同形、同意匠のユニフォームを着用し、そのユニフォームには6インチ(15.2cm)以上の大きさの背番号をつけなければならない。
(2)アンダーシャツの外から見える部分は、同一チームの各プレーヤー全員が同じ色でなければならない。
投手以外の各プレーヤーは、アンダーシャツの袖に番号、文字、記章などをつけることができる。
(3)自チームの他のプレーヤーと異なるユニフォームを着たプレーヤーは試合には参加できない。
(b)リーグは次のことを規定する。
(1)各チームは、常に独自のユニフォームを着なければならない。
(2)各チームは、ホームゲーム用として白色、ロードゲーム用として色物の生地を用いて作った二組のユニフォームを用意しなければならない。
【注】 アマチュア野球では、必ずしもホームチームのときは白色、ビジティングチームのときは色物のユニフォームを着なくてもよい。
(c)(1)各プレーヤーのユニフォームの袖の長さは、各人によって異なっていてもよいが、各自の両袖の長さは、ほぼ同一にしなければならない。
(2)各プレーヤーは、その袖がボロボロになったり、切れたり、裂けたりしたユニフォームおよびアンダーシャツを着てはならない。
(d)各プレーヤーはそのユニフォームの色と異なった色のテープまたはその他のものを、ユニフォームにつけることはできない。
(e)ユニフォームには、野球用ボールをかたどったり、連想させるような模様をつけてはならない。
(f)ガラスのボタンやピカピカした金属を、ユニフォームにつけることはできない。
(g)靴のかかとやつま先には、普通使われている部品以外のものをつけてはならない。ゴルフシューズ、または陸上競技用シューズに使われているスパイクに類似した、先のとがったスパイクをつけたシューズは使用できない。 (以下略)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~elcondor/dragons/rules/1_00.htm

(g)がスパイクに関する規定なのですが“チーム全員が同一のもの”とは書かれていません。腑に落ちないなぁ…と『公認野球規則』の全文を読んでみましたが、妙に細かいところまで規定しているかと思えば*2肝心なところがズサンだったりして。スパイクにしたって『普通使われている部品』…何ですか、これは?規則そのものの運用も結構いい加減といえばいい加減。例えば、ピッチャーマウンドについては

1・04
 競技場は、次にしるす要領により、巻頭1、2、3図のように設定する。
(前略) 90フィート平方の内野を作るには、まず各ベースライン(塁線)およびホームプレート(本塁)を同一水平面上に設け、続いて内野の中央付近に投手板をホームプレートより10インチ(25.4cm)高い場所に設け、投手板の前方6インチ(15.2cm)の地点から、本塁に向かって6フィート(128.8cm)の地点まで、1フィート(30.5cm)につき1インチ(2.5cm)の傾斜をつけ、その傾斜は各競技場とも同一でなければならない。(後略)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~elcondor/dragons/rules/1_00.htm

…と規定されていますが、東京ドームと甲子園のマウンドの傾斜が違うのは一目瞭然だし。【注】として『所属する連盟、協会の規定に従う。』という文言が頻繁に出てくるところからも、『公式野球規則』の拘束力がいかほどのものなのかがうかがい知れます。結局『所属する連盟、協会の規定に従う』とあるから、先の“連盟のお偉いさん”のような発言が出てくるのだと納得しました。
サッカーだと、ワールドカップから中学校の練習試合まで(もちろん“グランドルール”は存在しますが)、同じようなルールの解釈・運用がなされるよう徹底されているんですけどね。

*1:adidasの3本線とかMizunoのMラインとか

*2:ピッチャーの投球動作に関する部分などは、哲学書を読んでるような気分にさせられます。