体育祭が終わると音楽祭

 体育祭が無事終了。結局、Aくんの組体操でやらなかったのはピラミッドだけ。あとの種目は全部補助を付けずに行うことができた。休み明けに「Aくんは体育祭でがんばったねぇ。おかあさんからほめてもらえたかい?」と尋ねると、「何にも言ってくれなかった。」…果たして、Aくんの親は自分の子どもに関心があるのやら、ないのやら…
 で、体育祭が終わると次は音楽会。これまで特殊学級の生徒たちは交流学級に入って合唱していたが、今年はそれに加えて特殊学級単独でピアノの連弾をさせてもらうことになった。曲目は『ジムノペディ第1番』れっきとしたクラシックだ。
 ただし、何をやるにしても決して一筋縄でいかないのが今年の特殊学級。自分がピアノ講師でもあるB先生の肩に力が入った。「霞先生!ピアノは絶対ステージの中央に置いてね!」
 音楽会は“合唱祭”であるため、ピアノは舞台下手に置かれている。これを中央に移動するためには、係員がジャッキを使って3分かかる。分刻みでぎりぎりの進行になっているプログラムにそんな余裕はない。音楽会の運営を考えたら、かなり無茶な希望なのだが、B先生は特殊学級のことしか目にないから「ピアノが中央になくちゃ、音の響きがぜんぜんダメなのよ!これは絶対譲れないわ!」とまくし立てるばかり。
 交流学級の担任でもあり、前任校では特殊学級を担任していた音楽主任に「あいつらのピアノは、残響を云々言うほどのレベルかねぇ?」と尋ねると、ただ静かに微笑むだけ。周りが見えなくなるというのは恐ろしいことだ。くわばらくわばら…