小中学校教育課程研究協議会

県内全ての市町村から小学校1名、中学校1名、特殊学級を担任する教諭が指名されて集められる研究協議会です。3人の提案者がテーマに沿ってレポートし、全員で話し合いをする会議で、提案者以外の参加者も全員A4数枚のレポートを持ち寄ることになっています。
市内の特殊学級担任のうち、本採用は2人しかいないので今年は霞が出席するように市教委から連絡がありました。『個別の指導計画の市内共通書式』をレポートにしたので、ほどなく準備完了。のんびり構えていたら、県教委から司会*1に指名されてしまいました。
当日は会場のエアコンが故障しており、小振りのホールに70名が座っているのでむちゃくちゃ暑かったです。*2司会をしていて感じたのですが、市町村の代表*3として集まっているにもかかわらず、その意識の格差がとても大きいです。経験3年目の若い先生の提案が、“特殊教育の基本”を押さえつつ、斬新なアイデアにあふれたすばらしいものだった一方、参加していたベテラン教諭が「作業学習」「生活単元学習」とはどういうものなのかを明らかにはき違えた発言をしていました。
一例を挙げれば「作業学習」についてです。「作業学習」とは、具体的な生産活動を通して様々な教科・領域の内容を総合的に学習し、社会の中で実際に使える“生きる力”を身につける授業の形です。もちろん『作ること』自体が目的ではありません。作業を始めるにあたり数量の目標をたて、時間を意識しながら“不良品”を出さないように注意し、作業が終われば「報告書」を先生に提出…一段と実践的な数学や国語の授業なんです。そこで作られるものは『作品』ではなく『製品』でなければならないはずです。『製品』とは予め定められた規格に沿って作られ、それなりに商品価値のあるものといえます。どのような包装にすれば買ってもらえそうか、スーパーなどの店頭をマーケティングすれば、それは立派な社会の授業ですし、作業工程の中で見られる様々な現象*4に興味を持てば、それは理科の授業になります。
この基本を踏まえていれば「生徒のやりたい工程をやらせています」とか「生徒が自由に『作品』を作っています」などという“寝言”は出てこないはずなのですが、どうにも「美術」「技術」と勘違いしているベテラン教諭が多くて、閉口しました。
特殊学級は在籍する児童生徒の状態に合わせて、柔軟に授業の内容を工夫できる学級ですが、そこにはそれなりの『基本』があるわけです。先輩たちが、障害がある生徒にとって理解しやすい授業の形をいろいろと考えてくれているのに、そういう情報に無頓着で“自己流”のままの授業で“託児所”と化している学級があることが残念でなりません。

*1:参加者の中から事前に2名選ばれます。

*2:ちなみに、この日の最高気温は34度…

*3:特殊学級の経験3年以上の教諭が市町村教育委員会の“推薦”を受けて集まっているのですからね。

*4:なぜ糊はくっつくのか、とか