「今」が良ければ…

障害児を普通学校へ・全国連絡会ホームページ
今日、とてもストレートなネーミングの団体の存在を知りました。サイトの中を全て読ませてもらって、文部科学省教育委員会の動向にとても敏感で、よく勉強している団体だという印象を持ちました。組織としてもしっかりしているようで*1、1981年の結成以来、月間機関誌が239号も発行されているのは大したものだと感心しました。
この会の主義・主張は(はっきり申し上げて)五つの霞と真っ向からぶつかるものです。でも、それはそれとして、始めから否定するのではなく、なぜ「障害児を普通学校・通常学級」なのか、その理由というか、根拠を知りたくて隅々まで読んでみましたが…
結局はノーマライゼーションインクルージョンを全く同じものとして解釈し、国連の「http://www.bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp/nagase/2003p02.htm」や「http://www.dove.ne.jp/sumomo/siryou_folder/Salamanca.html」をよりどころとして、『一緒にいること』が大切であり、何よりも優先されなければならない…この会から発せられるメッセージの“最大公約数”は、そのあたりになりそうです。
中教審への意見(http://zenkokuren.com/news/news7.htm)や東京都教育庁への“抗議文”の中で、この会は

障害のある子もない子も一つの教室の中にいて、障害だけでなく何らかの理由で支援(サポート)が必要な子どもには必要なだけの支援をするべきだ

と主張していますが、対投資効果*2を完全に無視しているといわざるを得ませんね。また、普通学校に『入る』ことそのものが目的ですから、入った後、学校でどんな力をつけ、力を伸ばすことを期待しているかという点については一切記述が見られませんでした。もしかしたらhttp://zenkokuren.com/book/book5.htmを買えば書いてあるのかもしれませんが…
掲示板には会員の皆さんの本音が結構書いてあったのですが、http://zenkokuren.com/cgi-local/cbbs/cbbs.cgi?mode=one&namber=440&type=439&space=15&no=0の中での

「今」が満足できていれば、将来辛い時間を過ごすことがあっても、なんとか乗り越えられるんじゃないかと思うからです。将来のために、「今」の不遇を我慢して生きるなんて、どんな子どもでも大人でも、心に良いわけがないと思う私です。

という記述を読んで“なるほどなぁ”と思いました。なぜ障害児を普通学校へ通わせようとするのか、なぜ彼らと私の間に意見の相違があるのか、私なりに理解することができました。普通学級を希望する親御さんにとっては「入学式」が最大の関心事であって、その後のことまで考える“余裕”(表現が適切でないかもしれませんね。)がなく、特殊学級担任は「卒業式」をどう迎えるかが最大の関心事なんです。

*1:ただし、世話人として北村小夜氏の名前が挙がっている以外『個人名』が一切公開されていない点が、少々不思議なのですが…

*2:教育の現場に経済の話を持ち込むなといわれればそれまでですが、現実の世界での営みなのですから、完全に無視するわけにもいかないでしょう。