不登校が減少…?

不登校の児童・生徒が減少した」というニュースが先日流れました。
その根拠は「学校基本調査」。学校に在籍する児童生徒数・教員数・学級数・75条学級*1の数などなど、いろいろな項目に関して、日本中の全ての学校→市区町村教育委員会都道府県教育委員会文部科学省と集計するのが「学校基本調査」です。
この「学校基本調査」の中には、長期間欠席した児童生徒の数についての項目もあり、実は霞がうちの学校の担当になっているのです。うちの学校の生徒数はおよそ900人。そのうち、昨年度1年間に30日以上欠席した生徒は67人いました。割合で言うと7%です。さて、不登校はというと、何と3人です。0.3%。
ここにカラクリがあるんです。学級担任から「この生徒はただ何となく欠席しているので、不登校です。」と書類が上がってきたケースは18件ほどありました。それらを霞がまとめて教頭・校長の決裁を伺います。*2…で、修正されて戻ってきた文案を見ると、欠席理由の『不登校』がことごとく『病気』に変わっているのです。
まぁ、学校に不登校生徒が多いということは、管理職の学校経営能力を疑われる要因の一つですから、統計を操作したくなる気持ちも分からなくもないのですが、それにしてもあからさまですよね。そういう「学校基本調査」を根拠にして「不登校の生徒が減った」と言われても、現場の教員としては、何をかいわんや…という感じです。
ところで、島根県教委が「うちの県は不登校の割合が何でこんなに高いんだろう…」http://mytown.asahi.com/shimane/news02.asp?kiji=5714とお悩みのようですが、島根県の先生たちはとても真摯な方たちであると、胸を張って良いと思います。

*1:いわゆる『特殊学級』のこと。学校教育法第75条に“小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特殊学級を置くことができる。…”と規定されているので、行政の現場では『75条学級』という言い方をするのです。

*2:今の学校は、外部へ出す文書は全て教頭・校長の決裁をもらわなくてはいけないんですよ。