A君が登校

今日、1週間ぶりにA君が登校してくれました。
A君は自閉症で行動障害がある生徒さんです。特定の相手への強い依存傾向があります。A君の場合、特に昨年度担任だったQ先生に対する依存が強く現われていました。中学部から進学してきた“内部生”ですが、同じ校舎に通う環境では高等部に進学したと認識するのが難しかったのかもしれません。「Q先生に会いたい、Q先生に会いたい」と言い続け、全校集会や登下校時の昇降口*1、移動教室で中学部の教室の前を通るときなど、Q先生の姿が見えると一目散に駆けだすような状態でした。授業中にクラス集団を飛び出して行ってしまうこともあり、「君はもう高等部なんだ!Q先生のところに行っちゃダメ!」と腕を掴んで引きとめたり大きな声で叱りつけることが何度となくあったのです。
今考えると、この“指導”が失敗だったのですが、新学年が始まって2週間経ったところでA君は「学校に行かない!一生行かない!」と“不登校状態”になってしまいました。本人が興奮している不登校の初期段階で、不用意に教員が本人に電話をしたり家に迎えに行くなどのアプローチをかけると、本人が嫌っている学校の象徴でもある担任が迫って来るわけですから、ますます本人が態度を硬化させ事態を悪化させてしまいます*2
何か行動を起こしたい気持ちをぐっとこらえて、待つこと1週間*3。今朝も「登校できるかどうか微妙。今日明日はまだ無理かもしれない」という連絡を受けていましたが、朝の会をしていると廊下にお母さんと一緒に立っているA君の姿が。本当にホッとしました。霞が「よく来れたねぇ!えらい!本当にえらい!」とかなり大げさに喜んで見せると、A君はまんざらでもない表情になって教室に入ってくれました。
今回の事例は、担任である霞がA君に対して『こうして欲しい、こうなって欲しい』と考えている思い、言いかえれば“学習課題”をどこまで本人に迫るか、そのサジ加減を見つめなおす良いきっかけになりました。

*1:スクールバスに児童生徒を乗せるため、高等部の一部を除いてほぼ全ての教員が昇降口に集まるのです。

*2:あくまで霞の経験則。生徒指導の基本からは外れていると思います。

*3:その間も保護者と連絡を取って本人の状態を確認し続けてはいました。