学校が「職業紹介」できるわけ

特別支援教育の柱の中に「経済的自立」があります。企業への就労にせよ、福祉就労にせよ、“働いてお給料をもらう”というのが目指すべき姿の一つだ、というものです。
さて、働くためには『職場』を見つけなければなりませんが、「職業紹介」*1ハローワーク公共職業安定所)と厚生労働大臣の許可を受けた者しかできませんが、学校も制限付きながら職業紹介をすることができるのです。

職業安定法第27条
 公共職業安定所長は、学生生徒等の職業紹介を円滑に行うために必要があると認めるときは、学校の長の同意を得て、又は学校の長の要請により、その学校の長に、公共職業安定所の業務の一部を分担させることができる。
2 前項の規定により公共職業安定所長が学校の長に分担させることができる業務は、次に掲げる事項に限られるものとする。

  1. 求人の申込みを受理し、かつ、その受理した求人の申込みを公共職業安定所に連絡すること。
  2. 求職の申込みを受理すること。
  3. 求職者を求人者に紹介すること。
  4. 職業指導を行うこと。
  5. 就職後の指導を行うこと。
  6. 公共職業能力開発施設職業能力開発総合大学校を含む。)への入所のあつせんを行うこと。

(以下略)

第33条の2 次の各号に掲げる施設の長は、厚生労働大臣に届け出て、当該各号に定める者(これらの者に準ずる者として厚生労働省令で定めるものを含む。)について、無料の職業紹介事業を行うことができる。
1.学校(小学校及び幼稚園を除く。)
当該学校の学生生徒等
2.専修学校
当該専修学校の生徒又は当該専修学校を卒業した者
3.職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の6第1項各号に掲げる施設
当該施設の行う職業訓練を受ける者又は当該職業訓練を修了した者
4.職業能力開発総合大学校
当該職業能力開発大学校の行う職業訓練若しくは職業能力開発促進法第27条第1項に規定する指導員訓練を受ける者又は当該職業訓練若しくは当該指導員訓練を修了した者
(以下略)

…つまり、学校は在校生・卒業生に「○○株式会社が求人しているよ」という情報を無料であれば提供していいですよ(ただし、ハローワークにもそういう求人があったことは連絡してね)ということが法律に書かれています。
で、問題は施設にいる卒業生への情報提供です。
求人は年度途中に突然出されることもあります。施設としては、利用者が企業に採用されるチャンスを少しでも多くしたいので、そういう情報があったらぜひ連絡してほしい、と学校に要求してきます。卒業生の進路対策(アフターケア)といえないこともないので、学校としても情報提供に協力することにやぶさかではありません。ただし、卒業生個人に対してではなく、施設に対して情報を提供するとなると、この「職業安定法」の解釈が問題になると思うのです。

ある特別支援学校の進路指導主任は「それは『職業紹介』ではなく、『就労支援』。金を取らなければ問題ないんですよ。」と言っていましたが、果たしてそうなのでしょうか?

*1:法律用語で、いわゆる職業あっせんを指します。