教員の給料

教員給与に残業手当=教職調整額見直しの方向−勤務時間管理など課題も(時事通信)ウェブ魚拓
4%の「教職調整額」を廃止し、残業手当に切り替えることについて、私にはちょっとした懸念があります。
現実の学校現場では、児童生徒が登校してから下校するまで、常に監督・指導をしています。(指導のみならず、安全確保という視点からも)部活動がある中学校では、午前7時から午後6 時まで連続11時間勤務というケースだってあり得ます。一般の労働基準からみるととんでもない勤務環境ですが、なぜこのようなことが成り立つかというと、「教職調整額」が一つの根拠になっているわけです。『残業代に相当する教職調整額が支給されているのだから、時間外・休憩時間であっても必要に応じて職務に当たることを(管理責任者である校長は教員に対して)命令できる』という理屈です。
法律論から言うと、その裏返しになるわけですから、「教職調整額」が廃止されると、子どもたちが影響を被る恐れがあります。
小・中・高校では、昼休みと授業終了後に休憩時間が設定されているところが(少なくとも私の知る限り)ほとんどです。休憩時間は職務に専念する義務がありません。ということは、「昼休みは先生は質問を受け付けないよ」とか「朝練習はなし。午後練も5時まで。」と教員が主張したら、誰もそれを止められないということです。*1
特別支援学校では(少なくとも私の知る限り))子供たちが学校にいる間に休憩時間はないため、影響はないでしょうが、小・中学校の特別支援学級では「昼休みに教員は何もしませんし、子供たちに何かあっても、教員に責任はありません」と言われては深刻なことになりかねません。
実際にはそこまでえげつない教員はごく少数だとは思われます。しかし、20年ほど前、教職員組合が強い力を持っていたある中学校では『授業終了後15分間は部活動の練習は行わない』と職員会議で決定されたという事実もあります。

一生懸命頑張っていらっしゃる先生方と、世にいう『ダメ教員』が同じ額の給料を受け取っていることについては、私も一考の余地があると考えます。しかし、今回の文部科学省の動きには、一抹の不安を覚えずにはいられません。

*1:ちなみに、休み時間は「休息時間」であり、教員は職務に専念する義務があります。