今年2度目の「同窓会」

6月の「同窓会」で飲んだ卒業生+αから、またまた「先生!同窓会やります!」というお誘いがありました。
「『同窓会』って、1年間にそんなに何回もやるものか??」とは思いつつ、担任を誘ってくれる気持ちがうれしくて出席させてもらいました。

Bくんの話

彼らの学年には、一人ちょっと違うタイプの子がいました。今でいう“発達障害”の子です。知的な遅れは小さく、中学校在籍当時から“特殊学級”について「ここは僕がいるべき場所じゃない!」とはっきり主張していました。自分は他の子(=障害児)とは違う。結局卒業までの3年間、そういう雰囲気がありありと感じられる態度をとり続けていたので、担任としては『“特殊学級”の同窓会』には誘っても来ないだろうと思い込んでいました。
ところが、幹事役を務めている子からびっくりさせられる報告を受けました。今回の「同窓会」に誘おうと数年ぶりに連絡を取ってみたら、とても穏やかな声で「今回は都合がつかなくて行けないけれど、次の機会にはまた誘ってくれ。きっと行くから。」と答えたというのです。
次回は“新年会”をやろうということが決まりました。Bくんもきっと来るでしょう。10年近い月日が流れ、彼にどんな変化があったのか。ぜひ話を聞いてみたいという気持ちになりました。

カラオケの話

今回の会場には備え付けのカラオケがありました。会が始まって1時間ほどしてから、彼らは思い思いの曲を入力し、歌い始めます。普段から休みの日の“レクリエーション”として頻繁にカラオケボックスを使っているだけあって、操作はお手のものでした。
さて。
絶対音感」は臨界期の影響が最も大きく現れるものの一つです。即ち、ある時期に限って成長・定着する能力であり、その時期を逃してしまうといくら練習・訓練をしてもなかなか能力が高まらないものなのです。知的な発達と生活年齢との乖離が大きい中度〜重度の子だと、適切な時期に音感に関する指導を行うことが難しく、従ってメロディーもリズムもない、歌というよりは歌詞の朗読に近い状況になってしまうことは決して珍しくありません。
Cくんのカラオケは、まさにそんな“一本調子”の歌い方でした。でも、マイクを持つCくんは実に晴れ晴れとした表情で、楽しそうに“歌って”いるのでした。また、まわりの同級生たちはといえば、Cくんの歌い方に何ら注文をつけることなく、ケラケラ笑いながら一緒になって楽しんでいるのです。
その様子を見ていて、うまく言葉にできないのですが、“レクリエーション”って何だろう?“『違い』を認める”ってどういうことなんだろう?そんな思いが私の脳裏を駆け巡っていました。
ただ、そんな“一本調子”を延々と2時間聞かされるのは少々気力・体力を要求されましたが。