高等養護学校

『高等養護学校』とは、学校教育法上に規定されているものではありませんが、最近新設が相次いでいる“新しいタイプ”の特別支援学校です。
これまでの特別支援学校は小学部・中学部・高等部が併設されていることが多いのに対して、高等養護学校は高等部単独で設置されます。障害があるものの社会的自立、すなわち企業へ就職できる可能性が高い生徒を集め、特別支援学校高等部よりも「就労」に重点を置いた教育課程(カリキュラム)が用意されています。「卒業生の就職100%を目指す」と銘打った高等養護学校も少なくありません。
ここで問題なのが『企業へ就職できる可能性』とは何かということです。身辺自立・コミュニケーション・基礎体力・作業能力・基礎学力…様々な観点から入試選抜が行われているようですが、その結果、広汎性発達障害の生徒が多く入学する結果となっています。
私見ですが、この結果は高等養護にとって芳しくないと思われます。確かに“軽度”の生徒ならば企業へ採用される確率は上がるのですが、『障害の程度と定着率は反比例する』というのが、長年障害児の教育に携わってきた者の経験則です。これは、企業経営者の中にもあると思われます。
「障害が軽いヤツは、仕事はできるんだが波があるんだよ。100%できた日もあれば50%だった日があったりね。会社としては、それでは困るんだ。任せられる仕事の計算ができないから使えない。それだったら毎日必ず70%できるヤツのほうが、よっぽど使えるよ。」
現場実習先の社長さんから言われた一言です。もう何年も前の話ですが、未だに克明に覚えています。

就職はできるだろうけど、定着率が悪い生徒をどんどん送り込んでいるうちに、だんだん企業からはそっぽを向かれるようになるんじゃない、なんて冷ややかな見方をしている人もいるようですが、「○○株式会社に、入社△△人!」なんて、学習塾の広告まがいのようなことにならなければ良いのですが。