ダウン症児の交流

あきさんから質問がありました。
コメントからは、比較的軽度の活動的なダウン症児とお見受けします。実は、中学校における交流の際の留意点は、交流学級の生徒たちの、障害児との関わりの経験量や発達段階に関係してくるので、学年によって微妙に変わってくるのですが、『交流学級からの視点』で書いてみます。

総論:ダウン症児との交流について

あきさんの学級にダウン症児が交流する主たる目的は2つあります。
ダウン症児自身が、集団生活において良好な人間関係を作るために必要な態度・技能を身につける』
『交流学級の生徒たちが、ダウン症児に対して適切な支援の態度・技能を身につける』
まず、先生も学級の子どもたちもこの点を確認しておいて下さい。その上で、「ダウン症児であっても、やらなきゃダメ(やっちゃダメ)」「ダウン症児なんだから、手助けが必要」このあたりのさじ加減を、いろいろな経験から見極められれは良いのです。
交流学級の生徒たちは、様々な場面で壁に突き当たり「あいつ、何なんだよ!」「私たちの言うこと、聞いてくれない!」と不満を漏らすこともあるでしょう。既に、漏らしている生徒さんもいるようですね。そういうときにあき先生に求められるのは、具体的な対処法を教えることではなく、交流学級の生徒たちの不満を受け止め、先に挙げた2つの目的を改めて確認し、納得させることだと思います。
…言うのは簡単ですが、やるのは大変ですよね。無責任な言い方でごめんなさい。ダウン症児が集団生活の中で不適応を起こす要因は「やらないからできないもの」「やりたくてもできないもの」の2つに大別できます。前者はダウン症独特の生育環境*1に拠るものであり、後者はダウン症という障害の特性・特徴に拠るものであると私は考えています。この2つの境界線は、ダウン症児本人の状況・活動の量・難易度などによって変化するので“マニュアル”にするのは困難です。ですから、交流の目的を見失わないようにした上で、あれこれと試行錯誤すればよいと思います。
“初めてなんだから、うまくいかないのが当たり前。それはそれで仕方がない。”と腹をくくる…って、これも無責任な言い方ですね。ごめんなさい。

各論:宿泊学習

宿泊学習ではいろいろな活動がスケジュールに沿って設定されていると思います。時間的な制約が厳しいと思いますので、野外活動ではどんどん手助け(支援)をして、「とにかく周りの生徒と一緒に動く」というあたりを目標・目的にすると良いと思います。
一方、入浴(着替え)・食事については、時間の許す限り見守って欲しいと思います。身の回りのことについては「とにかく自分でやる」というあたりが目標・目的になってきます。ノロノロであっても(ダウン症児自身が)動いているうちは、手助け(支援)は不要です。『身の回りのことは、自分でやってもらいます』ということを、特別支援の学級の担任の先生からダウン症児の保護者に伝えてもらうのも良いでしょう。

各論:陸上競技

時間的に余裕があるのでしたら、競技内容に工夫が出来ると良いのですが。
距離・スタート方法・配点…私の経験では、純粋に記録による得点と、自己申告との誤差による得点を併用する、といったことをやったことがあります。ダウン症児だけでなく、運動が苦手な生徒にもチャンスを与えるという視点で、行事担当・生徒会担当・教育相談担当の先生方にも一緒になって考えてもらうのはどうでしょうか。

*1:このあたりは“ダウン”“天使”で検索すると情報が得られると思います。