重複障害学級対象者認定申請
本校は“知的障害養護学校”*1。在籍する児童生徒は、知的障害があるというのが建前であり、実情です。ただし、知的障害だけではなく、『肢体不自由』『視覚障害』『聴覚障害』『病弱』といった障害が重なっている子どもたちもいます。そんな子どもたちのために「重複障害学級」が用意されており、“一般学級”では1学級の定員が8人であるのに対し、“重複学級”の定員は3名と定められています。
保護者の中には「重複学級に在籍すれば、抽出の自立活動*2を受けられる」と思われている方もいらっしゃるようですが、それはちょっと勘違いです。
確かに、抽出の自立活動を行える人数には限りがあるので、重複学級に在籍する子どもたちを優先的に指導している現状がありますから、そのように見えるのも仕方がないといえば仕方がないのですが…。
ちなみに県教育委員会からは
定義
盲・聾・知的障害・肢体不自由・病弱の障害が2以上重なっている重複障害児及び発達的側面や行動的側面からみて、障害の程度がきわめて重い重度障害児の両者を含む状態をいう。
状態像
- 視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱の障害が2以上重なっている者
- 発達的側面からみて、「知的発達の遅れが著しく、ほとんど言語を持たず、自他の意思の交換及び環境への適応が著しく困難であって、日常生活において常時介護を必要とする程度の者
- 行動的側面からみて、「破壊的行動、多動傾向、異常な習慣、自傷行為、自閉性、その他の問題行動が著しく、常時介護を必要とする程度の者
(「昭和50年3月 重度・重複障害児に対する学校教育の在り方」)
というように示されています。
さて、“重複学級”に在籍するには申請が必要で、入学時に申請する子どももいれば、指導の結果をふまえて途中から“追加申請”する子どももいます。今日、一日かけて作った書類はAちゃんの申請書類です。その構成は
- 「重複障害学級対象者認定申請資料」
- 「重複障害学級対象者補足資料」
- 「生育歴の記録」
- 「障害・医療等の状況」
- 「学級における年間個別指導計画」
- 「自立活動の指導に当たっての個別の指導計画」
- 「学級における学習状況」
の7通。1・2・7を新しく作成し、3〜6はこれまでの個人ファイルの中にある資料をコピーして添付します。
なお、申請に当たっては、『その趣旨について保護者の理科と同意を得て行い、認定されたあとは、障害の状況に応じた適切な指導を実施し、保護者への説明ができるようにする』と釘を刺されています。「重度・重複障害に認定」となると保護者の心情に配慮して…と読めないこともないのですが、まぁ、通常学級に比べて2倍以上の人件費がかかるわけで、保護者向けというよりは「税金の無駄遣いか?」なんていう非難に備えての“説明責任”なんでしょう。言い方は悪いのですが「この子はこんなに大変な状況にある子なんです!」ということを目いっぱいアピールすることが今回の申請の目的ですから、通知票や指導要録とは文章の書き方がまるで変わってきます。
通知票だと、「○○ができる」「□□ができる」と書くことで『△△はできない』ということを表現するのですが、今回はズバリ“できない”“やらない”“難しい”という言葉がガンガン出てきます。まるで20年前の通知票を書いているようで、ちょっと妙な感覚になりました。