サイゼリヤが考える「従業員としての知的障害者」

サイゼリヤがすげーw - teruyastarはかく語りき

TBSのがっちりマンデーで取り上げられたことから、はてブサイゼリアが盛り上がっているようです。

実は1年ほど前に、教員の研修会*1サイゼリア顧問の正垣昌彦氏の講演*2を聴く機会がありました。
正社員2200名のサイゼリアが初めて知的障害者を雇用したのは平成14年。東証に上場した際に法定雇用率を満たしていなかったため、960万円の納付金を納めていたこと、そして身体障害者を受け入れるには店舗・厨房の改装・改造が必要*3なため、知的障害者を雇用する方針にしたという話でした。
このあたり、サイゼリアの『理科系戦略』が伺われます。


平成19年度時点でチャレンジド*4は126名。1店舗1名の雇用ををめざし、平成16年に法定雇用率を達成し、平成20年度は20名を採用予定とのことでした。
ただし、雇用促進法でカウントされる『一日平均6時間勤務』をクリアできているのは46%。なぜなら、厨房担当はフロアの仕事はできず、チャレンジドに仕事をさせたくても仕事がない。皿洗いはピーク時のみ。調理に職域を広げなければならないが、臨機応変さが求められる…ということで、サイゼリアとしての雇用方針を『法定雇用率達成』から『自立支援』へとシフトしたそうです。即ち、チャレンジドにとって“初めての社会参加”という視点に立ち、緊張緩和を最優先課題にするということです。
これまでチャレンジドから11名の退職者が出ているが、そのうち8名がいわゆる“軽度”で、「他の仕事に就きたい」と希望したとか。これにはトレーナー役のパートさんが困惑していると、こぼされていました。


正垣氏が「特別支援学校に望むこと」として挙げられたことは…

  • コミュニケーション能力
    • 「実習は人間関係の訓練」
    • 「トレーナー役のパートが働きやすい環境づくり」
    • 「社内の無関心勢力とのたたかい」←事業部長・エリアマネージャーへの教育
  • 企業とのコミュニケーション
    • 「教員は企業担当者とパイプを」→教育の結果を企業へ引継ぎしてほしい
    • 「企業に本人への指導の手法・方法を教えてほしい」→移行支援の柱となってほしい
    • 「学校の“適性基準”には疑問」→仕事・仕事に必要な力をわかってほしい
    • 「サービスは“動作と心”のバランス」→マニュアルだけでは心が抜ける。しかし、我々には心の指導ができない。


講演の最後の一言は、特別支援学校の進路担当にとっては結構グサリとくるものでした。
「会社への貢献度を数値評価したら、チャレンジドは雇用できない」
『理科系戦略』のサイゼリヤから発信されたメッセージだけに、説得力がありました。

*1:小・中・高校・特別支援学校から200人くらい集まる規模

*2:「一飲食業の障害者雇用の取り組み―養護学校に期待するもの―」

*3:すかいらーくは予め車椅子対応の厨房を設計していたとか。ある意味、さすがセブンアンドアイホールディングスとも言えるかも。

*4:サイゼリアでは、特別支援学校を卒業した従業員を「チャレンジド」と呼んでいます。